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2012年日本語スピーチコンテスト(報告)

2012年11月16日(金)、首都師範大学において広島大学北京研究連絡センターの主催により日本語スピーチコンテストが開催されました。このコンテストは①中国における日本語教育の成果の発表機会を提供する、②日中文化交流(異文化コミュニケーション)に寄与する、③日中翻訳文化形成に寄与することを目的として日本語学科?専攻を持つ中国国内の大学に広く呼びかけて作文を募集し優秀作品については学生本人によるスピーチコンテストとして開催されたもので、今年で第7回目をむかえ、このイベントを後援した北京研究連絡センターより佐々木センター長が審査員の一人として、水野副センター長および矢田国際協力員が参加しました。

最初に佐藤広島大学北京研究連絡センター長(広島大学·学長補佐)より挨拶が行われ、今年も多くの応募とともにスピーチコンテストを開催できることへの感謝が述べられた後、浅原広島大学学長よりのビデオメッセージが紹介され、広島大学で学ぶ1060名の留学生のうち603名は中国からの留学生であり、広島大学の四季豊かな美しいキャンパスで学んでいるとの紹介がありました。また現在の日本と中国の関係が不安定な状況にあるが、このようなときこそ学術交流を通じて相互理解を図りたいとの強いメッセージが会場に送られました。その後このスピーチコンテストの審査方法や審査員が紹介されました。

劉徳有氏(左)、林佐平氏(中央)、佐藤センター長(右) ビデオメッセージを寄せる浅原広島大学学長

記念講演では、元国務院文化部副部長で広島大学北京研究センター上級顧問であり、毛沢東元国家主席や周恩来元首相の日本語通訳として活躍し、日中民間交流に長きにわたって携わってきた劉徳有氏による貴重な話を伺うことができました。講演では劉氏が通訳者として直接関わった民間交流の2つのエピソード、1つは郭沫若氏と岩波茂雄氏(岩波書店創業者)との胸打たれる交流のエピソードが郭沫若氏が詠んだ美しい漢詩とともに、もう1つは1959年当時の日本と中国の間に国交がなかった時代に行われた周恩来元首相と松村健三氏(元国務大臣)との会談時のエピソードが紹介されました。そして日中の関係はこのような民間交流が重要な位置を占めてきたため、民間交流、草の根の交流やこのような青少年の交流が大切であり、今こそ日中交流の原点に立ち返る必要があると聴衆に強く語りかけました。そして最後に日中両国国民は満月をめでる習慣があるが、今たちこめている暗雲もきっと取り払われその後顔を見せる月はもっと丸く輝いているに違いないという力強い言葉で締めくくられました。会場を埋め尽くした178人もの参加者は熱心に劉氏の講演に聞き入り日中交流の歴史に触れる非常にいい機会となりました。

劉徳有氏による記念講演

その後、中国各地の大学で日本語を学ぶ大学生の中から選ばれた5人の候補者による日本語でのスピーチが行われました。今年のテーマは「伝統」で候補者はそれぞれの考える「伝統」について、「味覚」や「古典音楽」、「太極拳」などといった題材を取り上げ自身の体験に基づいた内容で語るとともに、このコンテストのために練習を重ねた生き生きとした日本語で多くの聴衆者を前に堂々とスピーチを行いました。スピーチの後直ちに5人の審査員による審査が行われ、審査委員長である広島大学高永茂教授より講評と審査結果が発表されました。日本語の流暢さなどのレベルを検証するとともに、出されたテーマの意味を自分自身の内面を深く見つめた上で表現しているかという主な2点で審査が行われました。今年は残念ながら最優秀者は該当者がなく、5人の候補者すべてを優秀者として表彰するという結果が発表されました。結果発表後直ちに表彰式が行われ、優秀者5人に表彰状と記念品が渡されました。そして高永審査委員長からは、今回の候補者がすべて女子学生であったため次は男子学生の応募と挑戦を期待したいとのメッセージが会場に送られました。そして最後に中国教育国際交流協会理事である林佐平氏より、このスピーチコンテストの感想と日中青少年の友好交流の重要性が語られ、第7回日本語スピーチコンテストは盛況のうちに幕を閉じました。

5人の優秀者 全体写真

主催者側によると今年も100を超える応募があったということですが、今年の「伝統」というテーマが少し難しかったということもあり各大学から推薦される全体数が昨年に比べると若干少なかったということです。また応募の9割以上は女子学生からのものであり優秀者もすべて女子学生であったことより、日本語を学ぶ女子学生の割合の高さとともに女子学生の日本語学習意欲の高さや積極性も伺えました。当センターとしては、引き続きこのような日本の大学の中国における国際交流の取り組みを積極的に支援していきたいと考えております。