歴代センター長(2013~2015年  和田修)

今年度4月から北京研究連絡センター長を仰せつかりました和田修と申します。私は1970年代から今日に至るまで企業、国家プロジェクトおよび大学の研究室で電子工学、光技術などの分野で仕事をしてきました。この間、欧米の先駆的アイデアを発展させて日本が世界の研究開発を先導した流れ、その後の産業技術リーダーシップのアジア内でのシフト、とりわけ近年の中国における経済や科学技術研究の躍進ぶりを見てきました。同時に世界中で働く中国人研究者の卓越した発想と行動力に感銘を受け、また自らのチーム研究でも優秀な中国の若手研究者の協力に助けられる経験を続けて来ました。このたびの北京センター就任では、中国の研究現場でこれらの研究を目にし、さらに日中交流の支援をする機会を得ることとなり、大変大きな期待と緊張を感じています。

JSPS北京センターは2007年に創設され、自主性と多様性を尊重した学問研究の推進と国際連携の強化いうミッションに沿って活動していますが、前任の佐々木衛センター長は特に、日中国交正常化40周年記念の社会科学院共催シンポジウムをはじめ日中協力の実質化と学術領域の全方位化を強力に進めてこられました。この活力を私の携わってきた理系分野にも拡大しつつ、日中学術交流をさらに強化していきたいと考えています。

昨年は両国の政治状況が大きく変化して当センターの活動にも多少の影響が出たようですが、学術交流に対する基本的な姿勢は変えることなく継続させて行くことが肝要なことは両国関係者が一致して認識するところです。むしろこんな時だからこそ共通認識を持つ学術分野において若手を始め研究者自身による実質的な学術交流を増強させたいと考えています。昨年はノーベル賞で山中伸弥教授が生理学·医学賞を、莫言氏が文学賞を受賞されました。これらを契機としてiPS細胞に関わる新学術領域の研究の加速や、漢字文化圏に属す両国の研究交流の深化が期待されるところです。

両国とも折しも新政府のもと、中国での科学技術発展第十二次五ヶ年計画要綱の推進や日本における総合科学技術会議の再起動などに見られるとおり、次世代のエネルギー、環境や少子高齢化などの共通の問題の解決に寄せる要求と期待が激増しており、我々の活動においても学術交流を増強するまたとないチャンスと考えています。

当センターの今後の活動においては、中国の対応機関との交流はもとより、希平会やJSPS同窓会を通じたネットワークを通じて、活動の幅をさらに広げていきたいと思います。今後とも皆様のご意見とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

     
     
日本学術振興会北京研究連絡センター
   
センター長 和田 修
   
2013年4月
   
 
  歴代センター長