2012年8月31日(金)中国社会科学院(北京市)において、日中国交正常化40周年を記念して、日本学術振興会北京研究連絡センターと中国社会科学院との共催で、「グローバル化の中の社会変容——新しい東アジア像を形成するために——」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。
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このシンポジウムは、東アジアにおけるグローバル化の中の移動、都市化、産業化、階層構造、市民社会の形成に関する問題を経済、政治、社会、歴史、文化の学術領域を越えて検討するべき東アジアの共通する課題として取り上げ、こうした課題を日本と中国の人文社会領域の研究者がこのシンポジウムにおいて共同で検討することによって、これからの新しい東アジア像と東アジアの共同関係の理念を検証していくということを目的として開催しました。シンポジウムには中国社会科学院を中心として、様々な研究分野からの若手を含む研究者たちやマスコミ関係者等約100名が会場に集いました。
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まずシンポジウムの冒頭の挨拶では、中国側を代表して中国社会科学院社会学研究所の李培林所長より、このシンポジウムのために様々な領域の専門家の方々に講演いただけることへの感謝が述べられた後、このシンポジウムでの研究者たちの交流を通して、中日の40年にわたるお互いの社会変化を改めて理解し合いながら、未来の関係についての討論していく場となることを希望するという挨拶が述べられました。
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開催のことばを述べる李培林所长(右)
引き続いて日本側を代表して、前JSPS主任研究者でお茶の水女子大学の岸本美緒教授より、この40年の日中学術交流を小さな芽が若木に育つ様子に例えつつ、岸本教授のこの40年の思い出話が紹介され、最後には感謝の気持ちと今後に向けての期待などが述べられました。
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挨拶をする岸本美绪教授(中央)
最初の基調講演においては、中国社会科学院の張蘊嶺研究員より「東アジアにおける国際協力と日中の役割」について、早稲田大学の天児慧教授より「『歴史』の節目の『現在』から『未来』の日中関係を考える」という題で基調講演をいただきました。
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張蘊嶺研究員より基調講演
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天児慧教授より基調講演
その後中国側からは、中国社会科学院文学研究所の孫歌研究員、同社会学研究所の王暁毅、同社会学研究所の王春光研究員および国際関係学院の楊伯江教授より、日本側からは、東北大学の長谷川公一教授、神戸大学の油井清光教授、兵庫県立大学の陳來幸教授および東京大学の川島真准教授からそれぞれ研究発表をしていただきました。
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今回のシンポジウムは、昨今日中外交問題が不安定な状況にある中開催されたこともあって、ある種の緊張感に包まれていました。質疑応答の時間では、若手の参加者などからそれぞれの発表者に対して鋭い質問が浴びせられましたが、それぞれ発表者たちは慎重に言葉を選びながらも、研究者としての責任とともにそれぞれの考えをはっきりと述べられる様子などから、研究者をはじめ会場にいた参加者たちにとっても一体感を感じることのできるシンポジウムとなりました。
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シンポジウムの最後には元文化庁長官の青木保先生から総括が述べられ、中国社会科学院社会学研究所の李培林所長からは、来年も引き続いてこのようなシンポジウムを開催したいとの意向が述べられました。そしてJSPS北京研究連絡センターの佐々木衞センター長より、このシンポジウムの成果であり価値あるものとするために論文集として出版したいとの意向が示された後、講演いただいた方々へのお礼の挨拶で締めくくられ、シンポジウムは盛況の中幕を閉じました。
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締め括りの挨拶を述べる佐々木センター長
北京研究連絡センターとしては、このシンポジウムの成果としてシンポジウムでの講演内容を論文集として出版する予定であり、このことは学術的観点からも非常に意義があると考えております。またこれを契機に日中間の共同研究が発展することが期待できるため、来年も引き続きこのようなシンポジウムの開催を企画していきたいと考えております。
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