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第一回在中国日本人研究者ネットワークさろん(報告)

2015年3月4日(水)に「第一回 在中国日本人研究者ネットワークさろん」をJSPS北京研究連絡センターにて開催しました。在中国日本人研究者ネットワーク会員の方8名と本会職員を合わせて13名出席しました。昨年9月に在中国日本人研究者ネットワーク設立大会を実施して以来、初めての会合となりました。会合の名称を「在中国日本人研究者ネットワークさろん」としたのは、柔らかなイメージを残しつつも会員の皆様にとって役に立つ場として発展していくようにとの思いで事務局が名づけました。

今回のさろんでは、まず始めにJSPS北京研究連絡センターの和田所長より挨拶を行い、その後は出席者の皆様から自己紹介、最近の研究内容、中国での研究や生活で困ったことなどを5分間程度お話しいただきました。自己紹介の場面では、中国語があまりできない時に、中国語での授業を依頼された時の苦労や周りの中国人学生があまりにも上手に日本語を話すので中国語が伸び悩んでいるなどのお話しがありました。また、最近の研究に関しては、日本の大学と中国の大学共同でシンポジウムを企画された例や、日中韓共同会議に出席した際に日本人が一人しかいなかった等、国際的な研究活動について報告がありました。また、中国での研究で困っていることについては、博士課程学生の方から日本に比べると論文を発表する場がかなり少ないこと、また大学の紀要は中国全土の研究者が投稿できる仕組みになっており、博士課程学生にとってはなかなか掲載までの道のりが遠いこと等が述べられました。

今回はネットワーク会員である空閑重則招聘教授(中国科学院理化技術研究所)に「中国の科学·日本の科学」について講演を行って頂きました。まず、中国の研究水準を見るために世界の論文出版状況を述べられ、その中で日本と中国の論文出版数や被引用回数の比較結果を分野ごと、科学雑誌別に詳しく報告されました。中でも、独自調査として各雑誌にどのくらい日本人研究者及び中国人研究者の名前があるのかを年ごとにカウントされているデータには、出席者から興味深いという声が上がりました。上記のようなデータから、中国は論文投稿数や被引用回数については日本に勝っていることが明らかになりました。一方で、研究不正などの問題が出てきていることについても述べられました。また、研究を行う上で元素周期律表の中国語は一見体系的で合理的なように感じるが、英語表記の略語とはかい離があり理解するのに時間がかかるというエピソードも紹介されました。

質疑応答の時間では、被引用回数のデータにおいて中国人研究者は論文を執筆する際に、中国人研究者同士で引用することが多いが、このことの影響はどうかという議論もありました。また、若手研究者の論文発表に際して、新たな知見を加えなければならないという観点が欠けている場合がある、その他研究の仕方における日中間の違いなど、種々の意見が交わされました。

JSPS北京研究連絡センターでは今後も、在中国日本人研究者ネットワークの広報を行い、在中の日本人研究者の皆様のネットワーク構築に取り組んでいきます。

参考URL:

http://www.jsps.org.cn/jspsbj/site/rbrjp/rbrdljp.htm