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JSPS中国同窓会重慶支部会

2016年10月15日(土)、重慶大学(重慶市)において、JSPS中国同窓会重慶支部会による学術セミナー「2016年中日幹細胞再生医学学術交流会及びJSPS事業説明会」が開催されました。

今回の説明会は、JSPS中国同窓会副会長である重慶大学の呉寿栄教授によって企画されたもので、あいにくの雨模様でしたが、会場には重慶支部会に所属するJSPSフェローを始め、生物分野に関心を持つ重慶大学の若手研究者を中心に約60名が詰めかけました。

重慶大学の呉寿栄教授の司会のもと、はじめに重慶大学生物工程学院王貴学院長より挨拶があり、 本日の講演テーマである幹細胞の研究は全世界で注目されている分野であり、今回のセミナーをきっかけに、今後の日本と中国のさらなる連携協力に期待を寄せている旨の発言がありました。また、東京大学宮島篤教授は、生物分野の研究成果、および今までの実りある交流を評価され、王貴学院長から重慶大学の客員教授の称号を授与されました。

司会を務める呉寿栄教授 宮島篤教授による客員教授授与式

続いて2名の講演が行われました。まず、重慶大学の宋国立特任教授の進行のもと、宮島篤教授より「肝再生のメカニズムとiPSを使った肝·すい組織の形成」と題した講演が行われました。幹細胞は自己複製能と機能細胞への分化能を併せもつ細胞であり、生体組織には、それらの形成·維持に関わる組織特異な幹細胞が存在します。一方、胚性幹細胞(ES細胞)や体細胞の初期化により万能となったiPS細胞は、全ての細胞へと分化する能力を備えていることから、再生医療、病態モデル、治療薬の開発などへの応用が期待されています。本講演では、幹細胞の概論、細胞の分離と培養、遺伝子改変マウスなどによる肝臓の幹細胞·前駆細胞の解析、さらにiPS細胞からの肝臓および膵臓の組織構築とそれらの医療への応用についての現状を紹介していただきました。

宮島篤教授による講演

次に、JSPSフェローである重慶大学の宋関斌教授の進行のもと、JSPS中国同窓会会長である浙江大学の張宏教授より「幹細胞治療の分子イメージング」についての講演が行われました。講演では、幹細胞治療は、これまで中枢神経や心臓損害など難治的な器官衰弱病気に大変有用な新しい治療法として注目されています。しかし、幹細胞基礎研究は盛んに行われていると同時に、臨床への応用は大変遅れています。その原因は、幹細胞の移植されてからの体内生物情報が、あまり知られていないためです。張宏教授は、新たにマルチイメージング方法を確立し、それを幹細胞の体内情報や生物的行為を追跡し、幹細胞の体内治療的メカリズムを解明しようと研究を進めています。また、張宏教授が首席科学家として指揮している中国国家重点研究計画(幹細胞)についての紹介もありました。会場は立ち見が出るほどの盛況で、会場の参加者から多くの質問や意見が寄せられ、講演分野の研究に対する関心の高さがうかがわれました。

張宏教授による講演

最後に、JSPS北京研究連絡センターの廣田薫センター長よりJSPSの概要及び外国人特別研究員事業等に関する事業説明が行われ、参加した若手研究者が熱心に耳を傾けていました。

廣田薫センター長による事業説明 会場の様子

JSPS北京研究連絡センターは、日中の優秀な研究者間の研究交流活性化のために、今後も事業説明会を国内各地で実施していく予定です。

集合写真