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北京シンポジウム開催について

平成18年度科学技術振興調整費に採択された日本学術振興会の「アジア科学技術コミュニティ形成戦略」の一環として、深刻化する地球環境問題やエネルギー·食料問題を解決するために、Sustainable Development (持続可能な発展)をキーワードに、東アジア地域で展開されている先端的な研究に焦点を当て、新たな科学技術コミュニティづくりを目指すことを目的として、「International Symposium on Sustainable Development in East Asia (東アジアにおける持続可能な発展に関する国際シンポジウム)」が2007年3月8~9日に北京新世紀日航飯店において開催された。

「人類は自然と共存できるのか?」という疑問への答えが「 Sustainable Development (持続可能な発展)」という考え方である。経済発展と環境問題は不可分の関係にあり、拡大する人間活動は国境を越えて地球規模で環境に大きなインパクトを与えている。津波や巨大地震などの自然災害や鳥インフルエンザなどの感染症も私たちの生活を脅かしている。こうした問題を解決するためには、まず複雑な地球システムと生態系の解明が必要となる。さらにエネルギー、天然資源、食糧、材料、情報通信などに関する革新的な技術開発が必要不可欠となる。また、「持続可能な発展」のための研究を東アジア地域で急速に進展させるために大学·研究機関の新たな連携ネットワークを創り出すことも重要である。

これらのニーズを踏まえて、本シンポジウムでは、オープニングセッション、6つの研究成果発表セッション、若手研究者による相互交流のためのポスターセッション、クロージングセッションが行われた。 6つの研究成果発表セッションのタイトルとセッションコンビーナーは以下のとおりである。

セッション1:
東アジアの持続的経済発展:ガバナンスと地域協力
·佃 良彦(東北大学経済学研究科、教授)
·Ke-young Chu (慶煕大学経済学研究科教授、韓国)
セッション2:
地球温暖化·環境汚染·自然災害などの地球環境問題
·住 明正(東京大学地球持続戦略研究イニシアティブ統括ディレクター、教授)
·Qing-Cun Zeng (中国科学院大気物理研究所、教授)
セッション3:
食糧·生物資源·エネルギーの持続的システム開発ーアジアにおける
·循環型社会の確立を目指してー
·大崎 満(北海道大学農学研究科、教授)
·Yong-Guan Zhu (中国科学院生態環境研究センター、教授)
セッション4:
アジアの経済発展と新興感染症
·岩本愛吉(東京大学医科学研究所、教授)
·George Fu Gao (中国科学院微生物研究所、所長、教授)
セッション5:
ナノテクノロジーと新材料
·後藤 孝 (東北大学金属材料研究所、副所長、教授)
·Pan Wei (中国清華大学材料工学科、教授)
セッション6:
持続可能な開発·発展と情報技術
·高田潤一(東京工業大学大学院理工学研究科、教授)
·Tiedao Zhang (北京教育科学研究院 、副院長)

当日の出席者数は、当日の登録申し込みの者も含めて、201名であった。シンポジウムでは講演者の講演に熱心に耳を傾け、メモを取る姿が見られた。セッションによっては活発な質疑応答が行われた。クロージングセッションでは、各セッションコンビーナーからセッションごとのアクションプランが示され、福西 浩北京研究連絡センター長からは 19 年度の北京研究連絡センターの事業計画が説明された。これらを踏まえ、今後の新たな科学技術コミュニティを形成するためのディスカッションがなされた。