Synergistic Development Strategy in the Era of Change
2015年6月24日(水)、北京二十一世紀飯店多目的ホール(北京市)において、中国社会科学院(CASS)との共催で、「変革時代の共同発展戦略(Synergistic Development Strategy in the Era of Change)」を開催しました。
中国社会科学院との共催シンポジウムは、日中間の社会科学分野における研究交流を促進する目的で2012年に始まり、通算4回目となる今回は、経済分野における「変革時代の共同発展戦略」をテーマに、約120名の参加者を集めました。
開幕式に先立ち、来賓の中国社会科学院張江副院長と日中双方のシンポジウム関係者による会談が行われ、会談終了後、中国社会科学院財経戦略研究院高培勇院長によるコーディネートのもと、開幕式が執り行われました。開幕式では、中国社会科学院国際合作局王宣敬副局長による挨拶に続いて、当センターの廣田センター長が挨拶しました。
今回のシンポジウムでは、「財税改革とマクロ安定化政策」、「イノベーションとサービス業の発展」、「“一帯一路”成長戦略」、「不動産の発展と都市化」の4つのセッションが設けられました。
「財税改革とマクロ安定化政策」をテーマとしたセッションでは、日本側1名、中国側3名の計4名の専門家による講演が行われ、日本側として、成城大学田近栄治特任教授にご講演いただきました。田近特任教授のご講演では、過去の日本経済を振り返りながら、日本の財政政策について、社会保障関係費と政府関与のあり方を中心に、日本の財政健全化への方策を含めご紹介いただきました。
「イノベーションとサービス業の発展」をテーマとするセッションでは、日本側から、早稲田大学加藤篤行助教にご講演いただき、中国側からは2名の専門家にご講演をいただきました。加藤助教のご講演では、日本の自動車産業における分析例や日本の中小サービス企業の分析例を基に、サービス生産性に関する研究成果をご紹介いただくとともに、イノベーションがサービスの差別化·標準化に与える影響等、今後の研究課題についても言及いただきました。
「“一帯一路”成長戦略」をテーマとするセッションでは、日本側1名、中国側2名の専門家にご講演をいただきました。日本側としてご講演いただいた札幌大学汪志平教授からは、日本のAIIB加入の是非を巡る各界の声を紹介いただくとともに、加入を巡る今後の日本の経済発展への影響について分析いただきました。
「不動産の発展と都市化」をテーマとするセッションでは、日本側から日本銀行北京事務所福本智之所長にご講演をいただき、中国側からも2名の専門家にご講演をいただきました。福本所長のご講演では、近年の中国不動産業の発展が日本の70年代初頭の状況に類似している点についてご紹介いただき、現在の状況はバブルには至っていないものの、今後、不動産購買層の人口動態及び中小都市における過度な不動産開発を注視していく必要性についても言及いただきました。
また、各セッションごとの質疑応答では、限られた時間の中、会場の参加者から多くの質問や意見が寄せられ、具体的な論点についての議論が交わされました。
JSPS北京研究連絡センターとしては、今回のシンポジウムでいただいた貴重なご意見を参考に、今後も日中研究者間の活発な研究交流の場として、本シンポジウムを発展させていきたいと考えております。
なお、今回シンポジウムで発表された貴重な資料は下部からダウンロードできます。
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