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2016 CASS-JSPS共同シンポジウム

2016年7月30日(土)、北京鑫海錦江大酒店上海庁において、中国社会科学院(CASS)との共催で、国際学術シンポジウム「文学·思想·日中関係」を開催しました。

このシンポジウムは、日中間の社会科学分野における研究交流を促進する目的で2012年から毎年開催しており、今年で通算5回目の開催となり、約60名の参加者を集めました。

今回のコーディネーターである中国社会科学院文学研究所の趙京華教授の司会進行により開幕式が執り行われ、中国側から中国社会科学院国際合作局周雲帆副局長の挨拶があった後、日本側からは当センターの廣田センター長が代表して挨拶しました。

廣田センター長による挨拶
シンポジウム会場の様子

今回のシンポジウムでは、「日中間における諸問題」、「文学と思想の間における日本と中国」、「日中文化交流のなかの魯迅」、の3つのセッションが設けられました。セッションに先立って行われた基調講演では、東京大学の小森陽一教授より中日関係の改善をめざす歴史的認識についての講演、趙京華教授より中日文化交流の中の魯迅に関する講演が行われました。

東京大学小森陽一教授
中国社会科学院趙京華教授

最初のセッション「日中間における諸問題」では、日本側2名、中国側3名の計5名の専門家による講演が行われ、日本側からは、フェリス女学院大学の島村輝教授が、日中の古典を辿りながら日本の童謡「ふるさと」の歌詞に含む逆説にについて説明されました。東京大学の林少陽准教授からは、東アジアの政治思想と「贈与」の理論の再構築について分析いただきました。

第2セッションの「文学と思想の間における日本と中国」では、日本側2名、中国側3名の専門家による講演が行われ、日本側からは早稲田大学の高橋敏夫教授が、現代日本文学の代表的作家である井上ひさしが上海時代の魯迅を描いた「シャンハイムーン」について紹介いただきました。また、三重大学の尾西康充教授からは、沖縄文学を取り上げて現代日本社会の問題を提起していただきました。

最後のセッション「中日文化交流のなかの魯迅」では、日本側1名、中国側4名の専門家にご講演をいただきました。日本側の発表者である仏教大学の李冬木教授からは、日本留学期の魯迅の文学観の形成についてご紹介いただきました。また、各セッションの質疑応答では、限られた時間の中、会場の参加者から質問や意見が寄せられ議論が交わされました。

シンポジウム参加者による集合写真

JSPS北京研究連絡センターとしては、今回のシンポジウムでいただいた貴重なご意見を参考に、今後も日中研究者間の活発な研究交流の場として、本シンポジウムを発展させていきたいと考えております。

☆プログラム

☆講演者リスト

基調講演

講演者所属·氏名

講演タイトル

東京大学大学院総合文化研究科  教授
小森陽一(KOMORI Yoichi)

中日関係の改善をめざす歴史的認識

中国社会科学院文学研究所  研究員
趙京華(ZHAO Jinghua)

中日文化交流のなかの魯迅

セッション1
日中間における諸問題

中国社会科学院日本研究所  研究員
李薇(LI Wei)

中日の新しい国家関係を構築するための思考

フェリス女学院大学文学部  教授
島村輝(SHIMAMURA  Teru)

「故郷」は何処にある?―3.11東日本大震災·東京電力福島第一原発事故から5年を経て

中国社会科学院日本研究所  研究員
崔世広(CUI Shiguang)

戦後日本の「戦後」意識

中国社会科学院文学研究所  研究員
李兆忠(LI Zhaozhong)

日本はいかに中国の良薬となり得るか?

東京大学大学院総合文化研究科  准教授
林少陽(LIN Shaoyang)

「文」と東アジアの政治思想―「贈与」理論の再構築として

セッション2
文学と思想の間における日本と中国

早稲田大学文学学術院  教授
高橋敏夫(TAKAHASHI Toshio)

井上ひさし『シャンハイムーン』

三重大学  副学長
尾西康充(ONISHI Yasumitsu)

沖縄文学と現代日本社会

北京師範大学外国言語文学学院  教授
王志松(WANG Zhisong)

日本歌における中国の想像―テレサテンの『香港の夜』を視点として

中国社会科学院日本研究所  副研究員
唐永亮(TANG Yongliang)

「近代の超克」に対する丸山真男の態度をめぐって

北京市社会科学院文化研究所  研究員
陳玲玲(CHEN Lingling)

反原爆文学の軌跡―大江健三郎論

セッション3
日中文化交流の中の魯迅

中国社会科学院外国文学研究所  研究員
許金龍(XU Jinlong)

大江健三郎の小説における魯迅の要素

仏教大学文学部  教授
李冬木(LI Dongmu)

「国家と詩人」の言説における「人」と「文学」―留学生周樹人の文学観の形成について

北京大学中文系  教授
高遠東(GAO Yuandong)

魯迅の「相互主体性」意識とその現代中国及び東アジアに対する意味

北京外国語大学北京日本学研究センター  教授
秦剛(QIN Gang)

佐藤春夫の魯迅翻訳と紹介

清華大学文学院  院長
王中忱(WANG Zhongchen)

『改造』雑誌と魯迅の多言語的な創作